Mahāvastu 第二章『文殊の智慧』

Mahāvastu
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2021年9月25日:記事を再掲載いたしました。

授業開始~!

カレーライス師匠

如是にょぜ

小僧たち

如是〜!

補足:こちらのコーナーにおける「如是」とは、正道会館における「押忍!」と同じような意味です。

カレーライス師匠

今日は『法華経 序品じょほん』にて『シャーキャ・ムニ 世尊せそん』が起こされた不思議相ふしぎそう過去世かこせいで見たことがある、と話してくださる大変ありがたい大菩薩様だいぼさつさま文殊菩薩 もんじゅぼさつ様を紹介していきます。

カレーライス師匠

我がシャカ教団の双璧そうへき 文殊菩薩は、『普賢菩薩ふげんぼさつ』と共に『釈迦三尊しゃかさんぞん』としてお釈迦様の脇侍わきざむらいにないます。

文殊菩薩は獅子ししに乗り、普賢菩薩は白い巨象きょぞうに乗って描かれます。

獅子🦁は智慧ちえ、象🐘は慈悲じひを表します。

【釈迦三尊】釈迦を中心として、左右に脇侍(きょうじ)の二菩薩(ぼさつ)を配した仏像配置の形式。脇侍には文殊・普賢の二菩薩が多いが、薬王・薬上の二菩薩、禅宗の迦葉・阿難などがある。

[出典]weblio辞書

小僧1

ガオゥ〜🦁

小僧2

パオゥ〜ン🐘

カレーライス師匠

はい、文殊菩薩のつかさどる智慧ちえとは、一般的な学問などの『知恵』とは異なり、さとりを得る力』となります。

‥‥相対世界そうたいせかいに向かう働き

‥‥悟りをみちびく精神作用

となります。

小僧1

悟り!

小僧2

南無なむ

カレーライス師匠

仏像、仏画ぶつがにおいて獅子🦁に乗るイメージはとうへ渡ってからできたと言います。

インド時代には獅子に乗っていなかったのですが、なぜ獅子に乗るようになったのか。

それは、お釈迦様のお言葉を『獅子吼ししく』と言ったこと由来ゆらいがあるようです。

カレーライス師匠

すべての菩薩達の見本、手本とされるべき大菩薩様だいぼさつさま、まさに仏典ぶってんそのものである文殊菩薩、その真言しんごん『オン・アラハシャノウ』と言います。

その意訳は、

『菩提を求め衆生を捨てず第一義において諸法を修して自性ある事なし』

自性とは、絶対的な不変の性質、あるがまま変わらない本質です。

【真言】《(梵)mantraの訳》いつわりのない真実の言葉。密教で、仏・菩薩(ぼさつ)などの真実の言葉、また、その働きを表す秘密の言葉をいう。明(みょう)・陀羅尼(だらに)・呪(じゅ)などともいう。

[出典]weblio辞書

小僧たち

むむむ、南無!

カレーライス師匠

はい、少し難しいようですね。

前章の『東雲』でお話した、お釈迦様がおこなった『四つのぎょうを憶えていますか?

小僧たち

1、自性行じしょうぎょう

2、誓願行せいがんぎょう

3、随順行ずいじゅんぎょう

4、不退行ふたいぎょう

カレーライス師匠

如是!よろしい、大変よろしいです小僧達。

それらは独立した『四つの行』ではなく、『ひとつの蓮華れんげ』としてとらえるモノである、と 文殊菩薩の『真言』は教えて下さいます。

それゆえに、お釈迦様の教えを体現たいげんする者獅子吼ししくに乗る者となり、獅子🦁 に乗るイメージがついたと考えられます。

ちなみにこの獅子の名を『威猛獅子王いもうししおう』と言います。

小僧たち

おぉ〜、乗ってみたい!

カレーライス師匠

単独でも信仰しんこうを集める『スーパー大菩薩様だいぼさつさま』は、五使者ごししゃ八童子はちどうじという多くの眷属けんぞくと共に描かれることもあります。

仏像、仏画で描かれるときはまげの数でご利益りやくが異なります。

一つ 増益ぞうえき、五つ 敬愛けいあい、六つ 調伏ちょうぶく、八つ 息災そくさいとなります。

大乗だいじょうの守護者、文殊菩薩のいう『増益』とは、私達においては『一人でも多くの人を救うこと』でしょう。

間違ってもお金のことだと勘違かんちがいいしないで下さい。

わかりますね?

小僧たち

にょ、如是南無にょぜなむ

目が怖い〜

カレーライス師匠

なんですか、そのガンダムみたいなのはwww 

【敬愛】[名](スル)尊敬し、親しみの心を持つこと。「敬愛の念」「敬愛する恩師」
【調伏】 《「ぢょうぶく」とも》仏語。心身をととのえて、悪行を制すること。
【息災】仏の力で災難を防ぎ止めること。
[出典]weblio辞書

カレーライス師匠

はい、話しを戻します。

『法華経 序品じょほん』の中で明かされる過去世では、『2万人いたとされる日月燈明如来にちがつとうみょうにょらい』、その『最後の一人』の弟子でしが『妙光菩薩みょうこうぼさつ』であり、さらにその弟子が『求名ぐみょう弥勒菩薩みろくぼさつ過去世かこせい)』でした。

この縁から『 マイトレーヤ(弥勒菩薩)』は『 マンジュシリー(文殊菩薩)』に説明を求めました。

小僧たち

むむ、なんとも深妙しんみょうなお話

カレーライス師匠

そうですね。有名な菩薩や弟子達の過去や未来が明かされていくところが『法華経の魅力みりょくの一つ』だと私は思います

さて、何かと超人的なイメージで描かれ、語られる如来や菩薩ですが、それは抽象人格ちゅうしょうじんかくであり、『心の現れの擬人化ぎじんか』ととらえた方が理解しやすいと思いますが、文殊菩薩には実在のモデルがいたとされます。

舎衛国しゃえこく多羅聚楽たらじゅらく(タラの町)の梵徳ぼんとくというバラモンの家に生まれました。

その生まれ方は如来さながら、母のわきから生まれ落ち、光りかがやまぶしくらし、吉祥きちじょうき乱れ、池の水はあふき出し、イノシシ🐗がブタ🐷になったとか?

さまざまな奇跡きせきを起こされたそうです。

このことから、『妙吉祥 みょうきっしょう』や『妙徳みょうとく』、『妙首みょうしゅ』などとも呼ばれます。

【吉祥】めでたい兆し。吉兆。きっしょう。[出典]weblio辞書

小僧1

なんと!イノシシ🐗が

小僧2

ブタ🐷になるとは!

カレーライス師匠

さて、ある意味 文殊菩薩と切っても切れない間柄あいだがらなのが維摩居士ゆいまこじです。

実在説もある御仁ごじん在家ざいけの信者を『居士こじ』と言いました。

維摩経ゆいまきょう』というお経の主役であり卓越たくえつした悟りを得ており、何事にも執着しゅうちゃくを持ちませんでした。

善と悪。清浄せいじょうあか。悟りと煩悩ぼんのう

相反あいはんする二つのものは、じつわかつことの出来ない一つのものであるという不二法門ふにほうもんを説きました。

実体を持たない『くう』とは相互関係そうごかんけいにより成り立つという考えの下に、例えば善を信じ求めるあまりに悪を嫌い、にくみ、うらむようになれば善からは遠ざかってしまう

どちらか一方に重きをおけば、そこに執着が生まれる。

原理主義げんりしゅぎ二項対立にこうたいりつの持つわなに気づかせてくれる有難ありがたいお経、維摩経!

【原理主義】聖典や教義を忠実に解釈し実践しようとする思想や運動。イスラム原理主義など。
【二項対立】相対する概念や、相容れない考え方。生と死、明と暗など。
[出典]weblio辞書

小僧たち

執着! ダメ、絶対!

カレーライス師匠

はい、絶対がすでに執着ですよ、小僧達

小僧たち

にょ、如是南無にょぜなむ

カレーライス師匠

流行ってるんですか、ソレ?

ある時、維摩ゆいまは病気になります。

お釈迦様は「誰か見舞みまいに行ってあげなさい」と弟子達にうながします。

しかし、弟子達は露骨ろこつにそれを嫌がります。

皆、日頃の説法せっぽうで維摩にやり込められておりました。

仕方がないので弥勒菩薩みろくぼさつに見舞うように言うと、弥勒菩薩も逃げ出しました。

小僧たち

なんと!弥勒様まで

カレーライス師匠

はい、卓越たくえつした悟りを得ておりましたが、性格がアレな人でして‥‥

仏道ぶつどうを極めたいなら戒律かいりつなんてすべて破り愚痴ぐちを言い怒ればいいんだっ!」

とかいう人だったとか‥‥

【戒律】修行者の生活規律。仏のいましめを自発的に守ろうとする心の働きをいう戒と、僧に対する他律的な規範をいう律を合わせた語。[出典]weblio辞書

小僧たち

え、戒律を破って良いの?

カレーライス師匠

ダメです!

しかし、戒律を破ったこともない人に戒律の意味など解らないだろう、という『虎穴こけつに入らずんば虎子こじを得ず』的な発想でしょうね

小僧たち

う〜む、如是南無!

カレーライス師匠

マンダムみたいに言うなっ!

古いネタを知ってるんですね、小僧達。

──はい、話しを戻します。

カレーライス師匠

あきれたお釈迦様は一番頼りになる文殊菩薩もんじゅぼさつに見舞いを頼みました。

見舞いに来た文殊菩薩に維摩ゆいまは説法を仕掛けます。

部屋の外には様子を見に来た菩薩達が集まります。

頃合ころあいを見て維摩は「どうすれば不二法門に入れるか?」の説明を菩薩達にうながし、菩薩達が一つずつ不二法門に入ることを説明すると、

文殊菩薩は、「全てにおいて言葉も説明も指示も意識することもない、すべての相互問題を離れ越えていることを不二法門に入るとなす」と言い、維摩に説明を促しました。

小僧たち

( どうするの? どうするの? )

カレーライス師匠

維摩は黙然もくぜんとして何も語りません。

それを見た文殊菩薩は、「──なるほど! 言葉も説明もない!」と賛嘆さんたんしました。

雷鳴らいめいのような維摩の沈黙ちんもくまぶしく語られる。

‥‥というお話なのですが、これは同時に、その答えに気づいた『文殊の智慧』をも賛嘆さんたんするお話なのです。

カレーライス師匠

はい、今日の授業はここまでにします。

赤腹如是やくぶーにょぜ

小僧たち

如是〜!

《Mahāvastu 第二章 文殊の智慧 授業満了》

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